e18 インド マハーバリプラム3 海岸寺院の構造と思想 シヴァ ウマー カーリー ヴィシュヌ

はじめての方は「e1 タイ1 スコータイ マハタート寺 ぶよぶよとした世界」からどうぞ

「e17 マハーバリプラム2 海岸寺院 ヨーニとリンガ」のつづき

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 ヨーニとは女神の陰部である。

女神の胎内はひんやりとしていた。


 昔、この付近に住んでいた人々が何を望み、

この寺院を設計したのか。


 ヨーニの中で

私は、

布で顔をぐるぐる巻いて目を閉じた。

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 巡ってきた順にこの寺院の構造を思い起こしてみる。

 この寺院は一つの塔である。


 塔の内側は三つ部屋に区切られている。


 地上側の部屋はシヴァ神の妃・ウマー妃であるヨーニ(女陰)がある。

 部屋と部屋は隔離されているため、

外側をぐるりと回り込んで

塔の中心に行かなければならない。

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 中心には原初の海に浮かぶ蛇の上に

寝そべるヴィシュヌ神が祭られている。


 再び、塔の外を歩いて海側にまわる。

そこにはシヴァ神であるリンガが祭られていた。

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 まず地上側のヨーニが大地の女神であることは間違いないだろう。

大地は農作物などを「生み出す」という性質を持っているため、

大地の神は多くの場合、母なる女神である。

 母なる女神は、豊穣の女神であると同時に

血を好む暗黒神でもある。

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 海側の堂は、

大地の女神に対する海の男神である。

シヴァ神は暗黒の破壊神であるが、

再生の神でもあり、

帰依するものには多大なる恩恵を与えるといわれる。

海産物などの恵みをもたらすが、

風の強いこの地域は時として

津波などの災害にも襲われたのだろう。

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 大地と海の境に位置するこの寺院は、

恵みと災いをもたらす大地と海を

二柱の男女の神として祭り上げた。


その荒ぶる夫婦の間で

柔和なヴィシュヌ神が寝そべっている。

 宇宙を調和させ維持させるヴィシュヌ神は

海と大地の夫婦を和やかに調和させようとしているのだ。

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 では今、私がいるこのヨーニは一体何なのか。

内側に豚の像があるのは、

ヨーニと同じく豚も豊穣の隠喩であるからだろう。


 私は顔を覆った布をめくり、

穴の中から塔を見上げた。

 太陽はいつの間にか傾いていた。

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 シヴァ神はルドラという暴風雨神としての別名もある。

あの高くそびえる塔そのものが

暴風雨も含めた天の働きを象徴する

巨大なリンガなのではないだろうか。


 天の男性原理に対する地の女性原理が

私が今いる、このヨーニなのだ。

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 天が男性原理と女性原理を共に備えたものであるように、

地であるこのヨーニの中にも

男性原理と女性原理を象徴する

小型のリンガとヨーニが祭られている。

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 海岸寺院は現在、海水に浸されないように

堤防によって海から隔絶されてしまっている。


 しかし、

本来は波打ち際に建っており、

潮が満ちると海中に沈み、

潮が引くとすべてをさらけだしたのだ。

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 寄せてくる波とともに、

少しずつ海が

このヨーニに流れ込んできていたのだろう。


 それは毎日、

日暮れから行われる海の男神と

大地の女神との交合であり、

万物を生み出す根源的な働きなのである。


 私は目を閉じた。


 潮騒が聞こえる。


 そろそろ潮が満ちてくる時だ。



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「e19 チベット ラサ 爆弾テロに遭遇」につづく

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