e26 ポカラからカトマンズへ マウントフライト ヒマラヤの威容

はじめての方は「e1 タイ1 スコータイ マハタート寺 ぶよぶよとした世界」からどうぞ

「e25 ネパール ポカラへの道程3 ネパール人とイスラエル人 同情と共感と自己主張」のつづき

himalaya_mountains.jpg

 眼下には、

雪をかぶったヒマラヤの山々がそびえていた。


 雨期のポカラは灰色の雲に覆われ、

ヒマラヤの山々が姿を見せてくれることはなかったが、

雲の上に行けば、

雨期だろうと関係なかった。

image013.jpg

 太古の昔から雪を被り続けている山々が、

犯しがたい崇高さをもって、

そこにそびえたっていた。


 峻厳な山岳に降り積もった粉雪が、

風に吹き飛ばされていくのが見える。


 圧倒的な威容。


 厳しいまでの美しさ。


 私は、思わず手を合わせていた。


 この神々しい山々が、

どの神仏の垂迹であるかは、

問題にならない。


 山々は、

絶対的真理の一つの現れとして、

そこに在った。

image013.jpg

 人間の力を遙かに超えたものとして、

そこに在った。


 偉大な存在に出会うことができたならば、

ちっぽけなことから生じた自尊心など

惜しげもなく投げ捨てて

心からひれ伏すべきだ。


 普通の人間が百年で得られるものなど、

たかが知れている。


 相対的な努力をいくらしても、

絶対的なものは得られない。

 たとえ人の寿命が二百年に伸びたとしても、

あの山々には遠く及ばないだろう。

image013.jpg

 突然、

目の前のナプキンが吹き飛んだ。

それと同時に耳がおかしくなった。


 紙くずが前方から、

強い風と共に

びゅんびゅん飛んでくる。


 客席が二列しかない

小さなプロペラ機の操縦席は、

私の席からもよく見えた。

mt_flight.jpg

 操縦士は、

まぶしそうに顔をしかめながら、

この高度にも関わらず、

窓を開けて新聞紙を挟もうとしていた。


 その窓からすごい風が、

機内に吹き込んできているのだ。


 新聞はばたばたと暴れ、

思うように挟めないようだった。

mt_flight.jpg

 飛行機は、神々の世界から、

埃っぽい下界へと下降していく。


 十八時間かけて行ったポカラから、

三十分でカトマンドゥに帰ってきた。


 小さなプロペラ機から降りてゆく

ほとんどの人たちが、

耳を押さえていた。


 皆、気圧の変化で

耳がおかしくなってしまったのだった。

 カトマンドゥの街は、喧噪であふれていた。


Kathmandu_street.jpg

「e27 ラオス ルアンパパン 朝の托鉢 オレンジ色の袈裟」につづく

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