e31 ミヤンマー パガン わがままな馬とやさしい馬主 パガンの夕日

はじめての方は「e1 タイ1 スコータイ マハタート寺 ぶよぶよとした世界」からどうぞ

「e30 チベット ラサ2 ウイグル人の屋台 旅人との対話」のつづき

0209toyoshi02.jpg

 綿をうすく引きのばしてみたような軽い雲が、

ゆっくりと流れていく水色の大空の下は

見渡す限りの広大な平原だった。


 赤茶けた大地のところどころには

木や茂みが生えていたが

それらと同じくらいの数の仏塔が

地平線近くにまで

まばらに続いていた。


 すべての仏塔は

みごとに風景に溶け込んでいた。

lrg_10180005.jpg

 一口に仏塔と言っても

そこには様々な形があり、

中には黄金に輝いているものもあるのに

それらはまったく作為を感じさせなかった。


 仏塔はまるで

人の手を借りずに

自ずから生えてきたかのように

自然だった。

lrg_10180005.jpg

 幻想的な風景の中で、

私はわがままな馬が引く

馬車に乗っていた。


 馬は馬主の言うことを

ちっとも聞かなかった。


 右に曲がろうとしているのに、

左にばかり曲がって行く。


「馬が、

こっちに行きたいと言ってるもので……」


 馬主は、

人の良い困った表情で

そう言うばかりだった。

1164543789_f.jpg

 インドでも馬車に乗ったことがある。

 ラージギールの馬車馬は、

言うことを聞いても、

聞かなくても、

常にこっぴどく叩かれていた。


 馬はそのたびに悲鳴をあげ、

私はそのたびに悲しくなった。


 帰り道は歩いて帰った。

 それ以来、

インドでは馬車に乗ってない。 

lrg_10180005.jpg

 この馬主が

馬を叩かないことは良いことだ。


 馬主は馬のためにたびたび休憩し、

ペットボトルから水を飲ませ、

草をはませた。


 急いではいけないのだ。


 急がないスピードが

人間が生きていく本来の

スピードだ。


 このスピードに慣れると

人は穏やかになる。

0209toyoshi02.jpg

 馬は、

本当に言うことを聞かなかったが、

馬主を

心から信頼していることが伝わってきた。

 馬主に甘えてみたり、

すねたりしてみせた。

 馬主は、その度に困ったような、

それでいて、

とてもうれしそうな顔をした。

0209toyoshi02.jpg

 目を見開いていられないほどの強烈な夕日の中、

私たちは一つの仏塔の上に登った。


 眼下に広がる大地に、

太陽が沈んでゆくのをそこで待った。


 強烈な日の光が、

世界を真っ赤な光と、

真っ黒い影に、

くっきりと分離していく。

0 (1)

 林立する仏塔の黒い影が、

真っ赤な大地に

目に見えて伸びてゆく。


 それはまったく現実離れした

圧倒的な光景だった。


 強烈な光の中で、

私はまったく無思考のうちに

合掌し

頭を下げていた。


 一切の存在が、

圧倒的なまでに尊く

美しかった。


DSC_7926.jpg

「e32 ミヤンマー 長距離夜行バス1 エアコンのないエアコンバス」につづく

「ちょっとでもいい」と思った方はクリックお願いします


9月から少人数制で瑜伽行(ヨーガ、呼吸法、瞑想)実践修行

9/5(日)金剛薩た浄化法伝授

9/12(日)舎摩他実習会 集中力をつける瞑想法です。

コメントの投稿

非公開コメント

メールフォーム

名前:
メール:
件名:
本文:

天照寺

天照寺

Author:天照寺
埼玉県坂戸市

毎月18日・午後2時
 観音供(合同供養)
 阿字観瞑想会

2月2日 星まつり・午後7時
4月8日 花まつり・午後2時
7月18日 盂蘭盆会・午後2時
8月18日 盂蘭盆会・午後2時

http://www.shingon578.com/

QRコード
QR
検索フォーム
リンク